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サポートサイトの作り方 その2

「FAQ」と「ガイド」の合わせ技
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CloudGarageのサポートサイトを作り変えようという話が上がっています。前回は「サポートサイト」を作ろうとして、滞ってしまう原因には何があるかについて考えてみました。

「サポートサイトの作り方」の第二弾の今回は、お客様が操作や確認の手がかりとして利用される情報である、「FAQ」と「ガイド」についてお話したいと思っています。

サポートサイトの二大構成要素 「FAQ」と「ガイド」

私のいる部署では、サポートページには2つの要素があると教えられてきました。「FAQ」と呼ばれる一問一答形式の情報案内と、「ガイド」と呼ばれる手順書です。

訪問者であるお客様には、その2つについて特に意識していただく必要はありませんが、情報提供側である私たちはかなり意識して作り分けています。FAQとガイド、どちらも聞いたことがある言葉ですが、その違いについてはやや漠然としています。それぞれ確認し直してみましょう。

FAQは文字通り「よくある質問」

FAQは「Frequently Asked Questions」の頭文字で「よくある質問」のことです。

「コンビニ決済はできますか?」というお支払い手続きに関する質問や、

「ディスク容量を増やすことはできますか?」といったサービスの内容についての疑問、

「クレジットカードが登録できないというエラーが出ます」
「新しくインスタンスが作成できません」

といったトラブルシューティングなど、さまざまなクエスチョンとその回答をまとめたものです。

「Q:○○はできますか?」
「A:いいえ。できません」

というYES/NOで答えられるようなものや、

「Q:契約が終了したという自動メールが来ました。継続したいけどどうしたらいいですか」
「A:サポートセンターにお問い合わせください」

というような個別のお問い合わせに誘導するようなものもあります。

オンラインの物販サービスなどは、簡単なFAQコーナーにいくつかの問答を用意するだけで十分なサービスもあります。

手順書や事前説明=「ガイド」

CloudGarageでも、「FAQだけで大丈夫だろう」との判断で、サービスサイトの片隅に「FAQのコーナー」だけを設けていました。ところが、サービスのアップデートや、利用いただくお客様の層が多様化するなどさまざまな経緯から、現在のFAQだけでは事足りなくなってきました

同じホスティングサービスであっても、

「特定のソフトウェアやGUIのセットアップが前提」
「サービスの納品までにサポートとのやり取りが必要な有料オプション」

など一般的でない前提条件が必要になってくると、「事前説明」や「手順書」をあらかじめ提示しておきたいのです。

私の部署では、画面遷移と手順を解説したページを「オンラインガイド」(通称ガイド)と呼んできました。

たとえば、パソコンやカメラを買うと、一枚もののシンプルな「簡単スタートガイド」と分厚い「マニュアル」が付属していて、マニュアルの巻末には「トラブルシューティング」欄があります。

FAQは巻末のトラブルシューティング欄のようなイメージでシンプルなテキストで答えが書かれています。一方、「簡単スタートガイド」と「マニュアル」の本編に該当するのが「ガイド」になります。

ちなみに、FAQとオンラインガイドはとくに別々のシステムを用意する必要はありません。お客様には「答えがほしい」「手順書を見ながら作業をしたい」など、個別の要望があり、提供したい情報の種類によってそれぞれのタイトルのつけ方も変わり、スタイルも違ってきます。

たとえば

・「○○はできますか?」「○○をするとエラーが出てしまうのですが……」はFAQ向き
・「△△の設定方法」「△△の開通手順」はガイド向き

という形です。

どんな形のお客様からの疑問も拾えるように、内容やイトルも工夫しなければなりません。

CloudGarageのサービスサイトでは現時点では、サポートページと呼べるほどのコンテンツはなく、FAQコーナーで一問一答形式の案内のみが掲載されています。

CloudGarageでWordPressホスティングをリリースした時、テクニカル&サポートブログに動画チュートリアルを紹介していますが、画面遷移などを説明した動画のチュートリアルも、もちろん「ガイド」の範疇に含まれます。

CloudGarageでさまざまなプランのリリースの企画が持ち上がるにつけ、ガイドのコンテンツを充実させたほうがいいのではないかという声が上がってきます。画像もついた手順書が要るとなるとページボリュームも増えますから、サービスサイトのおまけのような、FAQコーナーだけでは収まりません。

そこで、CloudGarageにも別途サポートページを作ろうということになりました。

大きなミッションを想定してFAQを導き、ガイドに肉付けをする

ガイドやFAQを作成する際には、お客様の作業内容を想定し、そのために必要な事項をお客様に先んじてピックアップする癖をつけておくことが重要です。

具体的に考えてみましょう。

たとえば、「専用サーバーの引越し」と題したガイドを作りたいとします。それは一概にはなかなか語り尽くせないものです。

サーバーの引っ越しにはいったいどんな情報が必要でしょうか。「お客様が何を知りたいか?」を前提にストーリーを思い浮かべ、FAQや個別のガイドになりそうなものを切り出してみます。

「専用サーバーの引越し」なら、お客様が実際に行う作業として、おおよそ次のようなものがイメージできます。

現在利用中のプランとその状況を知る

・現在の自分のディスク使用量、スペック上限、OSの確認
・現在の自分の契約プラン名の確認
・現在の契約プランの価格、契約終了日の確認
・現在のプランの解約方法の確認
・現在のサーバーの利用用途、利用アプリケーションの確認
・同一契約内の運用ドメインの確認
・各ドメインはメールもウェブも利用しているかの確認
・メールアカウントはいくつあるか確認
・メーリングリスト、転送設定の有無の確認
・データベース運用状況の確認
・Cron設定の確認
・他のサーバーとの自動連携の有無の確認(※)
・設定済みのアクセス制限(外部からサーバへ)の確認
・現在のメールアカウントのパスワード文字列を把握しているかどうかの確認
・ドメインのネームサーバーはどこで管理しているかの把握
・ネームサーバーの編集方法の確認

※サーバーのIPアドレスを外部に連絡して外部サーバーに接続許可設定をしてもらっているか、NFSなど複数台構成があるか

新しく検討しているプランの仕様を知る

・新プランの価格、ディスク量、スペック上限、利用可能OSの確認
・新プランの特徴、オプションの有無の確認
・支払い方法の確認
・新プランの購入手順の確認
・新プランのグローバルIPアドレスの確認
・SSH情報、rootパスワードの確認
・初期状態に戻せるかの可否の確認

知っておきたいことはたくさんあるのです。

ここまで書きだしてみるとわかるように、サーバーの引越しや移行ガイドを作ることになっても、必要な知識を全部一枚のページにまとめることはできません。

移行ガイドといっても、絶対的な手順ではなく「移行の一般的と思われる手順」の概要をピックアップしておくようなものになります。たとえ万人の参考にならなくても、本当に困っている誰かの役に立つ情報になるかもしれません。そのくらいの気持ちで作ります。

この例の場合、以下のようなFAQを最低限でも作っておいて、移行ガイドにリンクを貼るのがよさそうだなど思います。

・rootパスワードがわからなくなってしまいました
・契約サーバーのグローバルIPアドレスはどのように確認しますか
・解約方法を教えてください
・契約管理画面のログイン情報がわかりません
・どのような支払い方法がありますか
・これまでの支払い履歴の確認はどのように行いますか
・ドメインのレジストラ転入はできますか
・指定のネームサーバーはありますか

自分たちのサービスが移行先になる場合も、移行元になって他社へ転出される場合もあります。その両方を想定するとなると、設問の数もさらに増える可能性があるということです。

上記はほんの一例ですが、そのサービスのサポートレベルによっては、もっともっと詳細なFAQが必要になることもあるでしょう。

このようにしてリストアップしたFAQが役に立つのはけっして移行のときだけではありません。お客様の会社内の担当者が変わるとか、パソコンが壊れてメモがなくなってしまったという場面でも、上記のような質問をもらうことがあります。精緻に作ったFAQには、さまざまな場面で使いまわしが利くという大きなメリットがあるのです。

しばらくやっていくうちに、切り分けのコツもわかってくるし、自分たちのサイトなりのスタイルができあがるはずです。

ここで挙げた「サーバーの引越し」はホスティングガイドを考える上で、いいタタキ台になる事例だと思います。引越しには、現状把握だけでなく、新サーバーの選定と購入、新サーバー開通時の基本操作なども含まれていきます。いろいろな知識を芋づる式に総動員し、「育てていく」感覚で制作するのが大切なポイントだと思います。

こうやって、「サーバーの引越し」のような大きなミッションに関わるFAQを考えていくと、わたしたちが当たり前に思っている知識や、共通の理解も、実は長い時間をかけて積み木のようにひとつずつ組み上がってできたものだと感じます。

ピックアップフレーズ

「千里の道も一歩から」

どんな作業も、たくさんの情報を得て選択した結果です。小さくても確かな手がかりならば、掲示しておいたほうが役に立ちます。

青影青影
お客様の置かれる状況によって必要な情報は変わってきます。

FAQやガイドに情報が散らばっていても、キーワード検索でつなぎ合わせれば、それだけで解決につながることがあります。

ふとした疑問で、簡単に検索をかけて調べられればそれでもよいのですが、手順が複雑だったり、より多くの専門知識を必要としたりするケースでは、電話でのサポート窓口に連絡してある程度の流れをつかむと解決までが早まるものです。

FAQ、ガイド、電話サポート、お問い合わせフォーム等、状況に合わせてお客様が選べるよう、適切なツールを提供したいと思います。
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赤影
赤影
生まれも育ちもこちらの事業部というサポートスタッフです。平素より筆ペンとGimpを愛用しています。
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